ITパスポートのテキストを買おうとすると、「令和8年度版」と書かれた本が書店にもネット通販にもたくさん並んでいます。
どれも「やさしい」「かんたん」「合格」と書かれていて、表紙だけでは違いがわかりません。
実はITパスポートのテキストは、「イラストで仕組みから理解する本」と「過去問を解きながら覚える本」で中身の作りが大きく違います。ITの知識がどれくらいあるかで、合う1冊も変わります。
さらに、ITパスポート試験は2027年度に出題分野が見直される予定です。いつ受験するかによって、買うべき版にも気をつけたいところです。
この記事では、独学でよく選ばれている4冊の違いと、自分に合う1冊の選び方、買った後の進め方までまとめました。
そもそもITパスポートはどんな試験?テキスト選びの前に押さえたいこと
ITパスポート試験は、IPA(独立行政法人 情報処理推進機構)が実施している国家試験です。
ITの専門家向けというより、社会人や学生が身につけておきたいITの基礎知識を問う試験で、経営や法律、プロジェクト管理、セキュリティまで幅広い範囲から出題されます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 試験方式 | CBT方式(全国の会場のパソコンで随時受験) |
| 試験時間・問題数 | 120分・100問(四肢択一式) |
| 出題分野 | ストラテジ系(経営全般)・マネジメント系(IT管理)・テクノロジ系(IT技術) |
| 合格基準 | 総合評価点600点以上(1,000点満点)かつ、3分野それぞれ300点以上 |
| 受験手数料 | 7,500円(税込) |
注意したいのは、合計点が足りていても、3分野のどれか1つが300点に届かないと不合格になる点です。得意な分野だけを伸ばすのではなく、苦手分野を作らないことが大切です。
そのため、テキストも「全分野をまんべんなく、つまずかずに読み切れるか」で選ぶのが近道です。
ITパスポートのテキスト選びで確かめたい3つのポイント
ランキングの順位よりも、次の3点を確かめてから選ぶと失敗しにくくなります。
ポイント1:受験する時期に合った版か
ITパスポートのテキストは毎年改訂され、「令和8年度」のように対象年度が書かれています。シラバス(出題範囲)の改訂で新しい用語が加わることがあるため、中古や古い年度版は避け、最新の年度版を選ぶのが基本です。
また、IPAは2026年3月に、情報処理技術者試験の区分や出題分野を2027年度から見直す方針を公表しています。ITパスポートも、今の3分野から「ビジネス」「テクノロジー」「セキュリティ・倫理」の3分野に組み替える案が示されています。
2027年3月までの2026年度中に受験するなら令和8年度版、2027年度以降に受けるなら新しい制度に対応した版を選ぶと安心です。最新の情報はIPAの公式サイトで確認してください。
ポイント2:ITの知識がどれくらいあるか
パソコンやネットワークの用語にほとんどなじみがない人は、テクノロジ系の章で手が止まりやすくなります。イラストや例え話で「仕組みそのもの」を説明してくれる本を選ぶと、丸暗記に頼らずに読み進められます。
一方、仕事でITに触れている人なら、説明はコンパクトでも問題演習が多い本のほうが効率よく仕上げられます。
ポイント3:問題演習や特典がどれだけ付いているか
ITパスポートは過去問と似た問題が多く出る試験で、問題を解く量が得点に直結します。テキストによって、章ごとの過去問、模擬試験、スマホで使える問題アプリや用語集など、付いている演習の量と形が違います。
通勤時間などのすき間で勉強したい人は、スマホで問題を解ける特典があるかどうかも見ておくと便利です。
独学でよく選ばれているITパスポートのテキスト4冊の違い
独学向けとして名前がよく挙がるのは、次の4冊です。まずは表で違いを見比べてみてください。
| テキスト | 出版社 | 形式 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| キタミ式イラストIT塾 ITパスポート | 技術評論社 | 解説中心(章末に過去問) | イラストと会話で仕組みから理解 |
| いちばんやさしい ITパスポート 絶対合格の教科書+出る順問題集 | SBクリエイティブ | 教科書+問題集の一体型 | 出る順の整理と過去問アプリ |
| かんたん合格 ITパスポート教科書&必須問題 | インプレス | 教科書+必須問題の一体型 | 要点をしぼった解説とデジタル特典 |
| かやのき先生のITパスポート教室 | 技術評論社 | 解説と過去問を交互に配置 | 読んだ直後に過去問で定着 |
キタミ式イラストIT塾 ITパスポート(技術評論社)
イラストと登場人物の会話で、ITの仕組みを一つひとつ絵にして説明してくれるテキストです。「なぜそうなるのか」がイメージで頭に残るので、IT未経験でもテクノロジ系の章でつまずきにくいのが一番の強みです。
令和08年版は590ページを超える厚めの本ですが、そのぶん説明が省かれていません。読み物として楽しみながら、基礎からしっかり理解したい人に向いています。
いちばんやさしい ITパスポート 絶対合格の教科書+出る順問題集(SBクリエイティブ)
教科書と問題集が1冊にまとまった一体型で、よく出るテーマを優先して学べるように構成されています。
同じシリーズの名前を冠した無料の過去問アプリも公開されていて、本で読んだ範囲をそのままスマホで演習できるのが便利な点です。1冊で読む・解くを完結させたい人、すき間時間を使いたい人に向いています。
かんたん合格 ITパスポート教科書&必須問題(インプレス)
出題傾向を分析したうえで、覚えるべき要点にしぼって解説しているテキストです。重要な過去問をまとめた「必須問題」が付いていて、解説を読んだらすぐに本番レベルの問題で確認できる流れになっています。
用語集や問題演習などのデジタル特典も用意されているので、紙の本とスマホを組み合わせて勉強したい人に合います。仕事でITに触れていて、短期間で仕上げたい人にも向いています。
かやのき先生のITパスポート教室(技術評論社)
長く続いている「栢木先生のITパスポート教室」シリーズで、令和08年版から書名が「かやのき先生」になりました。カラーのイラストと例え話で解説したあと、関連する過去問をその場で解いて知識を定着させる構成が特徴です。
出題頻度の高いテーマを優先して並べているので、範囲の広さに不安がある人でも、どこに力を入れればよいかがわかりやすくなっています。
タイプ別に選ぶなら、この1冊から始めると迷わない
4冊とも、試験範囲はひととおりカバーされています。あとは自分のIT知識と勉強スタイルに合わせて選ぶだけです。
| こんな人 | 選びたい1冊 |
|---|---|
| ITの用語がほとんどわからない・仕組みから理解したい | キタミ式イラストIT塾 ITパスポート |
| 1冊で読む・解くを済ませたい・スマホでも演習したい | いちばんやさしい ITパスポート 絶対合格の教科書+出る順問題集 |
| ITに少しなじみがあり、要点をしぼって短期間で仕上げたい | かんたん合格 ITパスポート教科書&必須問題 |
| 読んだらすぐ過去問で確認しながら進めたい | かやのき先生のITパスポート教室 |
迷ったら、書店や通販の試し読みで、テクノロジ系の章(ネットワークやデータベースなど)を数ページ読んでみてください。多くの人がつまずくのはこのあたりなので、ここがすっと頭に入る本が自分に合う1冊です。
演習が足りないと感じたら、テキストを買い替えるのではなく、過去問題集や過去問アプリを追加するほうが効率的です。
テキストを買ったあとの進め方で、合格までの時間が縮まる
勉強時間の目安は、IT未経験なら100時間前後、仕事でITに触れている人なら50時間ほどです。独学で合格を目指すなら、次の順番で進めると効率よく得点が伸びます。
わからない用語には印をつけて先へ進み、3分野の全体像をつかみます。最初から全部覚えようとすると、テクノロジ系で時間を使い果たしてしまいます。
章を読み終えるたびに付属の問題を解き、間違えたところはテキストに戻って説明を読み直します。
IPAの公式サイトでは過去の公開問題が無料で公開されています。テキストの特典アプリなども使い、1日10問でも毎日解く習慣をつけます。
試験の1〜2週間前からは、時間を計って100問を通しで解きます。分野ごとの点数を確かめ、300点に届きにくい分野を重点的に見直します。
CBT方式は試験日を自分で選べるので、勉強を始めた時点で受験日を予約してしまうと、ゴールが決まって計画が立てやすくなります。
テキストだけでは続かないと感じたら、講座を組み合わせる方法もある
テキストでの独学は費用を抑えられる一方で、わからないところを質問できず、勉強のペースも自分で作る必要があります。
「テキストを開いても用語が頭に入ってこない」「仕事が忙しくて机に向かう時間が取れない」と感じたときは、スマホで動画を見ながら学べるオンライン講座を組み合わせるのもひとつの方法です。テキストで全体を読み、つまずいた分野だけ講座の動画で補う使い方なら、独学のよさを残したまま進められます。
たとえばスタディング
のITパスポート講座は、スマホで動画講義と問題演習を進められるオンライン講座です。
講座の料金や中身、合格実績は、こちらの記事で詳しくまとめています。

まとめ:受験時期に合った版を選び、1冊を最後まで使い切る
ITパスポートのテキストは、どれを選んでも試験範囲はカバーされています。違いは「解説の深さ」と「演習の付き方」です。
- IT未経験で、仕組みから理解したいなら「キタミ式イラストIT塾 ITパスポート」
- 1冊で読む・解くを済ませたいなら「いちばんやさしい ITパスポート 絶対合格の教科書+出る順問題集」
- 要点をしぼって短期間で仕上げたいなら「かんたん合格 ITパスポート教科書&必須問題」
- 読んだらすぐ過去問で確認したいなら「かやのき先生のITパスポート教室」
受験する年度に合った版を選び、1周目は止まらずに読み切る。この2つを守れば、独学でも合格は十分に手の届く目標です。
よくある質問
- ITパスポートはテキスト1冊だけで合格できますか?
-
問題が付いた一体型のテキストなら、1冊で理解から演習まで進められます。演習が足りないと感じたら、過去問題集や過去問アプリを足すと安心です。
- 古い年度のテキストや中古でも使えますか?
-
シラバスの改訂で新しい用語が追加されることがあるため、受験する年度に合った最新版を選ぶのがおすすめです。2027年度以降に受験する場合は、新しい制度に対応した版が出てから選ぶと安心です。
- 勉強時間はどれくらい必要ですか?
-
IT未経験なら100時間前後、仕事でITに触れている人なら50時間ほどがひとつの目安です。1日1〜2時間なら、1〜3か月で合格を目指せます。
- テキストと過去問は、どちらを先にやるべきですか?
-
まずテキストを1周読んで全体像をつかみ、2周目から過去問と並行するのがおすすめです。最初から過去問だけを解くと、解説の用語がわからず時間がかかりやすくなります。

